かつてアジアの島国で、最強の捕食者としてその名を馳せたネコ科の肉食獣・タイワンウンピョウ。
先住民によって「聖霊」と尊ばれていた彼らは、どうして島から姿を消してしまったのでしょうか。
「タイワンウンピョウ」とは
身体的特徴
頭から尾の先までの長さは180㎝ほど。
体表面には「雲豹」の名の通り、雲のような美しい模様があります。
生態的特徴
木登りが得意なため、木の上で鳥やサル、小型の鹿などをとって餌にしていました。
他のネコ科動物と同じく薄明薄暮性(薄明と薄暗の時間帯に活動する動物の性質のこと)であるため、狩りを行うのは薄暗い時間でした。
「タイワンウンピョウ」の分布・生息地
名前の通り台湾の固有種になります。
台湾全土の森林に広く分布していたと言われていますが、その中でも南部や東部の海岸山脈での目撃記録が比較的多いようです。
「タイワンウンピョウ」の絶滅した原因
地元の住民や中国の貴族などは、その美しい毛皮を求めて彼らを狩り尽くしました。
その上、大掛かりな森林伐採が行われたことで、住処までも奪われてしまったのです。
「タイワンウンピョウ」の生き残りの可能性
タイワンウンピョウの絶滅は、2013年に宣言されました。
しかし、台湾の北西部において、大型のネコ科動物の足跡や、タイワンウンピョウと思われる動物の目撃情報が相次いでいるのです。
そしていまもタイワンウンピョウの生存を信じて、熱心に調査を続ける人たちがいます。
国立台東大学生命科学学科の劉教授もその一人。
劉教授は「ウンピョウは警戒心が強いため、人間のしかけた罠にかかる可能性は低く、猟師一人の手でとらえられるようなものでもない。
そのため、今まで誰にも発見されなかったのだ」と指摘します。
こちらの調査では姿そのものを捉えることはできませんでした。
しかし、彼らは決して諦めません。「タイワンウンピョウがこの地で確かに生きている」という証拠を探す旅はまだまだ続くようです。
まとめ
幻の美しい豹・タイワンウンピョウについてまとめてみました。
足跡などで生存をうかがわせながらも、確固たる証拠をわれわれに与えない彼ら。
とても残念に感じますが、かつて人間に搾取された記憶を持つ彼らなりの生存戦略なのでしょう。
台湾に残る未開の自然が保護され、彼らが安心して過ごせる環境になればいつか、私たちの前に姿を現してくれるかもしれません。