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【ヨウスコウカワイルカ】特徴や生息地・絶滅の原因・生き残りの可能性まとめ

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昔々あるところに、きれいなお姫様が暮らしていました。

しかし望まぬ結婚を拒否したことで、家族によって溺死させられてしまいます。

そして、イルカに生まれ変わった彼女は、中国の平和と繁栄の象徴として尊ばれ、いつしか「長江の女神」と呼ばれるようになったのでした……。

中国の伝統的な物語において、悲劇の姫君の生まれ変わりとして描かれる「ヨウスコウカワイルカ」。

今回はその神秘的な生態についてまとめてみました。

「ヨウスコウカワイルカ」とは

身体的特徴

成体となるとオスで体長230㎝、メスだと250㎝ほどで、体重は135㎏~230㎏ほどになります。

他のカワイルカたちと同じように、口がクチバシのように長くとがっています。

生態的特徴

イルカと聞くと「海の生き物」という印象を持つ人も少なくないかもしれませんが、ヨウスコウカワイルカは河川で生活するイルカです。

川の支流との合流部分や中洲の下流側で、魚を食べて暮らしています。

遊泳速度はだいたい時速10~15㎞くらいですが、危険を感じると時速60㎞くらいで泳ぐことも。

目は良くないので、エコロケーションと呼ばれる超音波の反響で周囲の状況を把握する方法に頼って暮らしています。

単独やつがい、もしくは3~6頭くらいの小さな群れをつくって生活します。

「ヨウスコウカワイルカ」の分布・生息地

以前は長江の河口から宜昌にかけての1700mの範囲や、洞庭湖、冨春江下流域に分布していたようですが、次第に長江本流の一部にまでその生息地域が狭まっていきました。



「ヨウスコウカワイルカ」の絶滅した原因

主な絶滅の原因は、中国の工業化に伴う開発の波によるものです。

船舶による水上輸送や、餌となる魚の乱獲、ダムの建設などにより、彼らの住処はどんどん奪われていきました。

また、森林開発や農業による水質の汚染も、個体数の減少に拍車をかけてしまったようです。

1979年には中国政府によって絶滅危惧種に指定されましたが、保護も虚しくその数は急速に減っていき、ついには絶滅してしまいました。

長江のみの固有種でもともとの個体数が少なかったこと、飼育が難しく飼育下の繫殖が困難を極めたことも、絶滅を後押ししてしまったようです。

「ヨウスコウカワイルカ」の生き残りの可能性

2006年、2012年に行われた調査においても、その姿を見つけることはかないませんでした。

そのため、専門家たちは2002年に確認された個体を最後に、絶滅してしまったと結論付けました。

その後、2016年には長江においてヨウスコウカワイルカと思われる動物が目撃されました。

しかし、種の保存のためには最低でも50頭程度の同種が必要であると言われているため、

もし仮に目撃情報が正しかったとしても、彼らが危機的状況にあることに変わりないのが現状です。

まとめ

悲劇の姫君の生まれ変わり、ヨウスコウカワイルカ。平和と繁栄の象徴であるはずの彼らが、国の発展と引き換えに住処を追われ、地球から姿を消してしまったというのは、なんとも皮肉な話ではありませんか。

栄華を望む人間の生命活動は、時に女神と呼ばれた生き物でさえ滅ぼしてしまうようです。

個人にできることには限りがあると言えど、その身勝手さを省み、同じ過ちを犯さないという意識は全ての人類の胸に灯るべき火なのではないでしょうか。