ウェーククイナはツル目クイナ科に属する鳥類で、ツルの仲間です。
体長は約30cm程度で、体の色は喉から胸あたりにかけて白と茶色のまだら模様をしています。
クイナ科の鳥類は、飛ぶことができない種類が多いですが、ウェーククイナも例外でなく、飛ぶことはできなかったようです。
島に外敵がいないからか、警戒心があまりなく、人が近づいていても逃げなかったといいます。
体はひょうたんのような形で、茂みを歩くのに適していると考えられています。
「ウェーククイナ」の分布・生息地
ウェーククイナは、北太平洋、マーカス島の東南東約1400㎞に位置する、アメリカ合衆国の環礁、ウェーク島のみに生息していたといわれています。
環礁というのは、サンゴ礁によって構成されている島のことで、このウェーク島の面積は
13.86㎢しかありません。
そして、現在は空港施設しかなく、人も住んでいない無人島となっています。
ウェーククイナが生息していたウェーク島には、鳥類はウェーククイナのみしかいなかったといわれています。
ウェーク島は、海に浮かぶ孤島ですが、かつて飛行能力があったウェーククイナの祖先が、この島に飛来し定住し、外敵のほとんどいない島の環境からも飛行能力が必要でなくなったため、徐々に羽根が退化して、現在の飛べない生態になったのではないかと推測されています。
「ウェーククイナ」の絶滅した原因
ウェーククイナは、第二次世界大戦の影響で絶滅にいたってしまったと考えられています。
第二次世界大戦勃発中、日本とアメリカの間で、ウェーク島の戦い とよばれる戦闘がありました。
この末に、日本はウェーク島を占領し、名前も「大鳥島」と変更したといいます。
戦時中、戦略的に重要な拠点にあったウェーク島でしたが、日本が島を占領した後、アメリカ軍は補給ルートを断つという作戦をとりました。
そうなると、日本軍は日に日に食料がなくなり、苦しむようになりました。
そこで、元々少ないウェーク島の生物の中でも食べることができるウェーククイナが、食料として捕獲され始めたのです。
ウェーククイナは、警戒心が少なく、なぜか赤い布を振るとよってきたようで、捕獲するのは安易だったといいます。
日本軍は、ウェーククイナを食べることでなんとか終戦までウェーク島を確保し続けましたが、終戦と同時にアメリカへ降伏することになりました。
しかし、終戦後、この島を調査したところ、その時にはもうウェーククイナは一羽もみつからなかったようです。
つまり、ウェーククイナは、日本軍によって食いつくされてしまったといわれています。
「ウェーククイナ」の生き残りの可能性
ウェーククイナは、ウェーク島という限られた環境でしか確認されておらず、なおかつ飛ぶことができない鳥類です。
島自体の面積も広くないため、調査をすることもあまり難しくないと推測できます。
そういった特性を考えると、現在ウェーク島の中で生き延びている可能性は限りなく低いと考えられます。
かつて、ウェーク島に飛来したウェーククイナの祖先のように、別の島に飛来したウェーククイナの祖先が、そこで進化し、別種として生き延びている可能性は十分に考えられますが、ウェーククイナとは別の種であることは違いありません。
ウェーククイナは、人間の戦争に巻き込まれ、絶滅にいたってしまった被害者といえるでしょう。