「オキナワオオコウモリ」とは
分類は、哺乳類綱翼手目オオコウモリ科オオコウモリ属に分類されています。
「翼手」は読んで字の如く、翼のように進化した前腕を持つコウモリの仲間を指している言葉です。
その中でもオキナワオオコウモリは、かつて日本に生息するコウモリの仲間の中で最も大きな種類とされていました。
空を飛ぶ翼として発達した前腕部は約13〜14cmもあり、体重は400g前後、その全長は1m近くもあったと言われています。
体毛は亜熱帯の気候に適応するためか短く、長くても2cmに満たない他、脛の裏側に体毛は生えていないそうです。
また上顎の前方には小さな臼歯が生えています。その顔はどこか犬やキツネの仲間を思わせるため、海外では「Okinawa flying fox(沖縄の飛びキツネ)」と呼ばれてるようです。
日本、特に沖縄県の固有種であるとされており、その大きな体に似合わず食性は植物質の物で、花や果物を好んで食べていたと記録されています。
「オキナワオオコウモリ」の分布・生息地
オキナワオオコウモリは、かつて沖縄島の深い森林部に生息していたと言われています。
これは、森林部にはオオコウモリの餌となる果物や花、身を隠す場所が豊富にあったためとされています。
「オキナワオオコウモリ」の絶滅した原因
オキナワオオコウモリの絶滅原因についてですが、絶滅に直結した詳しい原因は分かっていません。
しかし、生息場所であり餌場でもある森林を失ってしまった事が原因の1つと考えられています。
沖縄県には他にも「オリイオオコウモリ」や「クビワオオコウモリ」等が生息しおり、絶滅危惧種に指定されてはいてもオキナワオオコウモリのように絶滅に追い込まれていないため、絶滅原因に謎を呼んでいます。
もし、森林を失った事で絶滅したのならば、体が大きかったがために身を隠す場所も少なくなった沖縄島で天敵となり得るカンムリワシ等の猛禽類に狙われやすくなってしまった事や、その巨体を維持できる食料がなくなってしまった事も挙げられると思います。
オキナワオオコウモリは19世紀に沖縄島で3〜4匹が採取された記録がありますが、それ以降の発見例はなく、今ではイギリスの大栄博物館に標本となった2頭が現存しているのみとなっています。
「オキナワオオコウモリ」の生き残りの可能性
オキナワオオコウモリの絶滅については本当に絶滅したのかと言われると甚だ疑問が多いため、私はまだ生き残っているのではないかと考えています。
理由はいくつかありますが、オキナワオオコウモリは本当は沖縄に生息していなかったのではないか?という説もあり、現存している標本も沖縄ではなく東南アジアで採取された物と考えられています。
これはオキナワオオコウモリが東南アジアに生息する「アリアナオオコウモリ」の「シノニム」、つまり同一の存在として考えられていた事もあったからです。
また、オキナワオオコウモリは19世紀には絶滅したという説もありますが、1987年にはワシントン条約附属書Ⅱに掲載されており、1990年にはワシントン条約附属書Ⅰに格上げされて掲載されています。
生息地である沖縄県のレッドリストでは長年姿を見ない事から2017年に絶滅と判定が出ていますが、保全状況評価では「データ不足」と判定されており、確実に絶滅したという判定にはなっていません。
オオコウモリの仲間は特徴や見た目が非常に似通っている種類が多いため、おそらく姿を見なくなっただけでは保全状況評価は絶滅したという判定はしない物と思われます。
複数の種類が生息している場所では生息の痕跡も混同しやすくなるため、遺伝子解析のような確実なデータでもない限りは覆らないでしょう。
オキナワオオコウモリの写真は殆どありませんが、あるサイトには確証はないものの、オキナワオオコウモリの写真とされている物も生態と共に紹介されています。
オキナワオオコウモリは、どこかの僅かな森林で他のオオコウモリ達に混じって生き残っていると信じたいです。
現存種のオオコウモリ達も人間のイタズラで子育て中に吹き矢を当てられ、体に矢が刺さっている個体が見つかりニュースになった事もありました。
オオコウモリ達との関わり方を考えなければ、どの種類も絶滅してしまうかも知れない事をしっかりと認識しなければ、彼らの安心できる未来は無いのかも知れません。