オレンジヒキガエルは、両生綱無尾目ヒキガエル科に属するカエルの仲間です。
別名、オスアカヒキガエル とも呼ばれています。
1989年に目撃されたのを最後に、絶滅したと考えられています。
大きさは、オスが4~5cm程度、メスが4.5~5.5cmと、メスの方がやや大きいとされています。
オレンジヒキガエル という名前の通り、オスの背中は赤やオレンジ色で、少々奇抜な見た目をしています。
腹部は淡褐色で、不明瞭なオレンジ色や褐色の斑紋が入ります。
メスは背面の体色が黒褐色や黄褐色で、黄色い縁取りのある赤い斑紋が入っています。
見た目だけでいうと、メスのほうが少々毒々しい色をしているといえるかもしれません。
比較的大型の卵を産むことは知られており、産まれたばかりの幼生、つまりおたまじゃくしの時は黒褐色をしています。
のちに変態を行い、成体の体色へと変化していきます。
「オレンジヒキガエル」の生息地
オレンジヒキガエルは、中央アメリカ南部に位置する、コスタリカ共和国の固有種です。
標高1590mと高い場所にある、常緑広葉樹からなる雲霧林とよばれる、湿度が高く霧がかかり、雨が多く降るような環境に生息していました。
地表に棲んでおり、繁殖期にしか目撃されないことから、地面に潜って生活していたのではないかと考えられています。
動物食で、広葉樹にいる昆虫や無脊椎動物を食べていたと考えられています。
「オレンジヒキガエル」の絶滅した原因
オレンジヒキガエルは、1987年には1500匹以上の個体と、その繁殖も確認されていました。
しかし、1989年に11匹が確認されたのを最後に、絶滅したと考えられています。
絶滅の原因はわかっていませんが、生息地が限定されており、その生息地はモンテベルデ自然保護区に指定され、開発や水質汚染は制御されていたようです。
そのことからも、雨が降らずに日照りがおき、水不足になってしまったのではないかと考えられます。
また、カエルツボカビ病の流行によるものという説もあるようです。
カエルツボカビ病とは、ツボカビ属の一種によって引き起こされる、両生類にとって致命的な感染症の一つです。
自然界において、この感染症にかかってしまった場合、効果的な対策はないとされています。
この感染症が流行したことにより、オレンジヒキガエルが絶滅にいたってしまったと考える研究者もいるようです。
「オレンジヒキガエル」の生き残りの可能性
オレンジヒキガエルは、2010年に行われた、全世界で絶滅両生類を探索する試みにおいて、再発見が最も期待されている10種の1つであるとされています。
生息場所が限定的であることからも、調査はしやすかったと推測できますが、未だ再発見にはいたっていないのが現状です。
しかし、これまでに同じ両生類の仲間である、サンショウウオの仲間や、クサガエルの一種など、計3種の「幻の両生類」の生存が、国際調査チームによって確認されたという例もあります。
これらのことからも、今後、オレンジヒキガエルが再発見される可能性は期待できるかもしれません。
しかし、もし再発見されたとしても、わずかな生き残りを見つけたにすぎないため、地球規模で進行する両生類の減少については、深刻に受け止め考えていく必要がありそうです。