カムチャッカオオヒグマとは、その名の通り巨体揃いのヒグマの中でも最大の種類です。
記録に残っている最大体重は655.2kgにも及び、更に大きな個体では1000kgを越えると言われています。
また、一説には後ろ脚で立ち上がると約4.6mもの巨体であると考えられています。
足跡は長さ約37cm、幅は約25cmであり、これだけでもカムチャッカオオヒグマが如何に巨大な種類であったかが分かります。
食性は雑食性で特に魚を好んでいたとされており、漁師の網にかかった魚を盗んだり、魚を追いかけるあまり漁網にかかってしまう事もあったようです。
「カムチャッカヒグマ」の分布・生息地
ロシアのカムチャッカ半島に生息していたと言われています。
寒さの厳しい環境で生き残るために、その毛皮は僅かな日光を吸収しやすいように黒く、毛は長めであるとされています。
「カムチャッカヒグマ」の絶滅した原因
この最大級のヒグマを絶滅にまで追いやったのは、寒さを凌ぐ上質な毛皮を求めた人間達による「クマ狩り」が原因でした。
元々カムチャッカ半島には「コリャーク人」という先住民がおり、彼らはクマ狩りをして肉は食用、心臓は薬用、衣料等の材料として仕留めたクマを余す事なく利用していました。
この頃はヒグマも狩られ過ぎるという事はなかったのです。
しかし17世紀半ば頃、カムチャッカ半島にロシア人達がやって来るようになりました。
それからはロシア人達はカムチャッカオオヒグマの上質な毛皮を求め、冬眠中もお構い無しに次々と乱獲をしていったのです。
乱獲によってその数は著しく減少し、1920年に狩られた1頭を最後にカムチャッカオオヒグマは姿を消し、絶滅してしまったとされています。
「カムチャッカヒグマ」の生き残りの可能性
1920年に絶滅したとされているカムチャッカオオヒグマですが、丁度その頃カムチャッカ半島にステン・ベルグマンという動物学者が訪れていました。
カムチャッカオオヒグマの姿は発見できなかったものの、ベルグマン氏はこのクマの物と思われる足跡を発見しています。
また、ヒグマの仲間は泳ぎが得意な種類が多く、数十kmも泳ぐ事があるため隣接している島があれば泳いで渡る事もあるそうです。
北海道では海をヒグマが泳いでいる様子を漁師が発見する事もあり、中には漁船に対して威嚇する個体もいます。
さらには106年ぶりに利尻にヒグマが現れたという話もあり、ヒグマがいないはずの利尻に現れたのは海を泳いで渡って来たと考えられています。
カムチャッカオオヒグマももしかしたらカムチャッカ半島を泳いで抜け出し、近くの島に生活場所を移して生き延びているかも知れません。