「グアテマラカイツブリ」とは
グアテマラカイツブリは、鳥綱カイツブリ目カイツブリ科オビハシカイツブリ属に属する鳥の仲間です。
学名はPodilymbus gigas で、正式な和名は「オオオビハシカイツブリ」というようです。
体の大きさは、全長約45~50cmで、くちばしは大きいのが特徴です。
くちばしの色はまだら模様で、全体の色は白色、先端は茶色、真ん中には大胆な黒い縦の帯があります。
羽根の色は暗褐色で、側面には白い斑点が見られます。
眼の中にある虹彩は茶色で、とても綺麗な眼をしています。
後ろ足は灰色で、翼は退化していて飛ぶことができなかったようです。
ヨシというイネ科の植物を使って巣を作り、そこに白い卵を4~5個産んでいたといいます。
1989年に確認されたのを最後に、絶滅したと考えられています。
「グアテマラカイツブリ」の分布・生息地
グアテマラカイツブリは、中央アメリカ北部に位置する共和制国家である、グアテマラ共和国の中にある、アティトラン湖の固有種です。
このアティトラン個は、8万4千年前の火山の噴火によってできたカルデラ湖であり、周囲は断崖と3つの火山に囲まれています。
グアテマラカイツブリを含むカイツブリの仲間は、流れの穏やかな河川や湖、湿原などを好んで生息しています。まれに海上でみられることもあるようですが、基本的に水上で生活していて、陸地を歩くことはほとんどないようです。
主に水生昆虫や両生類、小魚を餌としていたと考えられています。
「グアテマラカイツブリ」の絶滅した原因
グアテマラカイツブリは1989年に確認されたのを最後に絶滅したと考えられています。
その原因として考えられているのが、人間が外来生物を持ち込んだことによる影響です。
1958年に、アティトラン湖にはレジャーとして釣りを楽しむためにブラックバスやコクチバスなどが導入されました。
それらの捕食により、これまでいた魚が減少し、グアテマラカイツブリの餌がなくなってしまったことが考えられます。
また、これらの外来種によってグアテマラカイツブリのヒナが捕食されてしまった可能性もあるようです。
さらには、グアテマラカイツブリが巣を作るために使用していたヨシが伐採されたり、アティトラン湖が観光地として開発されていく中で様々な環境が変化したことも、個体数が減少した原因であると考えられます。
また、1976年にはグアテマラ地震が起きました。
この地震により、アティトラン湖周辺では決壊が起こり、湖の水位が下がって面積が減少したようです。
この地震による影響も大きいのではないかと推測できます。
「グアテマラカイツブリ」の生き残りの可能性
グアテマラカイツブリは、アティトラン湖の固有種であり、生息範囲が非常に限られます。
その中で、現在まで発見されていないということなので、生き残っている可能性は非常に少ないと考えられるでしょう。
しかし、絶滅する以前から、グアテマラカイツブリに関しては、交雑種が多く見られたようです。
現在も、アティトラン湖には多くの生き物が生息しています。
その中に、グアテマラカイツブリの遺伝子をもったカイツブリの仲間が生き残っている可能性はあるのかもしれません。