動物園でも大人気の動物、ライオン。
ただでさえ堂々たる風格の彼らですが、かつてアフリカにさらに巨大な種が存在していたというのはご存知でしょうか。
その名もケープライオン。
最大にして最強であった百獣の王は、どんな姿で、どうして絶滅してしまったのか。
今回はその秘密に迫っていきたいと思います。
「ケープライオン」とは
身体的特徴
ケープライオンは、オスの成体で体重230㎏、体長300㎝、体高106㎝にもなる巨大なライオンです。
現在動物園などで見ることのできるライオンのオスは、大きいものでも体長250㎝程度であると聞くと、ケープライオンが如何に大型の種であったかということがお判りいただけるかと思います。
顔の周りは普通のライオンと同じく茶色のたてがみが、肩から腹部にかけては黒っぽいたてがみが密集して生えていたというのも特徴的ですね。
このたてがみの色から、クロタテガミライオンとも呼ばれていました。また、耳の先も黒っぽい毛でおおわれていたそう。
生態的特徴
ケープライオンはシマウマやキリンといった大型の有蹄動物を好んで食べていました。
形態的な分類でいうと、ケープライオンはアフリカライオンの亜種だとされてきましたが、近年のDNA研究においてはそれを裏付ける研究の結果を出すことはできていません。
「ケープライオン」の分布・生息地
ケープライオンがかつて暮らしていたのは、アフリカの最南端、ケープ州ケープタウン。
そこにある喜望峰という岬の海岸沿いを生活の中心にしていたようです。
ちなみに、同じくアフリカの最北端には、ケープライオンと似た特徴を持つ、あのライオンキングのモデルにもなった、バーバリライオンが暮らしていました。
「ケープライオン」の絶滅した原因
ケープライオンはその生態について詳しい研究がなされる前に絶滅してしまったため、正確な絶滅原因というのはわかっていません。
しかし、イギリスによるアフリカの植民地支配がはじまってからその数を減らしていっているため、人間による狩りなどが原因であると考えるのが妥当です。
植民地開拓によってケープライオンの餌であった動物たちが住処を追われ、ウシやブタなどの家畜が導入された。
ケープライオンは家畜を襲うほかなくなり、そこを猟師やハンターによって獲り尽くされた……ということでしょう。
イギリス人が入植した直後には10000頭いたと言われているケープライオンが、そこからわずか60年ほどで100頭にまで数を減らしてしまったのです。
絶滅した正確な年数はわかっていませんが、ケープ州の最後の野生個体は1858年に射殺されたという記録が残っているそう。
飼育下ではパリのメナジュリー動物園で1860年に死亡したオスの個体が最後の一頭だったとされています。
「ケープライオン」の生き残りの可能性
記録にある通り、1860年ごろには絶滅してしまっていると考えて間違いはないでしょう。
ロシアのノボシビルクス動物園が発見した大型のライオンの個体群のDNAが、ケープライオンのそれと一致した……という話もあるにはありますが、こちらも真偽のほどは定かではありません。(見た目の特徴は概ね一致しているようですが、純血種ではないとのこと)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最大・最強の肉食動物であったはずの彼らも、人間の身勝手によって滅ぼされてしまったようです。
ケープライオンの最後の一頭だと言われていたメナジュリー博物館のオスの一頭は、現在ではパリの自然史博物館に剥製となって収蔵されているそう。
生きている間にぜひお目にかかりたいものですね。