人間の無知や身勝手ではなく、政治的闘争のために滅ぼされた動物がいます。コーカサスバイソン。
体高200㎝にも及ぶ大きな草食獣は、政治的思惑によって憎まれ、狩られ、この世から姿を消してしまいました。
今回はそんな彼らの生態と、絶滅の原因を探っていきます。
「コーカサスバイソン」とは
身体的特徴
コーカサスバイソンは体長340㎝、体高200㎝、体重1tにもなる大型の草食獣です。
体色は少しあかるい茶色で、頭は小さく、肩のあたりが大きく盛り上がっており、人間でいうところの「逆三角形」のような体型をしていました。現在のヨーロッパバイソンよりも、山岳地帯で暮らすのに適した体だったようです。
アメリカバイソンよりも短い角を持ち、体毛も少し短めだったようです。
生態的特徴
アメリカバイソンとちがって大きな群れは作らず、10頭ほどの小集団で行動していました。
盛りの中にある草、樹皮、木の実などを食べていたようです。メスは1~2年に1頭ほどのペースで出産していたということです。
この出産率の低さは、後に彼らの絶滅へ大きく寄与してしまうことになります。
また、用心深い性格で、人間の姿を見つけると深い森の中に逃げていったそうです。
「コーカサスバイソン」の分布・生息地
黒海とカスピ海の間に東西に延びるコーカサス山脈沿いの地域に生息していました。
中でも、厳しい斜面のある森林を選んで暮らしていたということです。
「コーカサスバイソン」の絶滅した原因
19世紀初頭、コーカサスバイソンはロシアの皇帝・アレクサンドル一世によって生息地を保護されました。
密猟を防ぐため、近隣の住民を立ち退かせるほどの徹底ぶりを見せたこの施策は見事に成功。
少なくなっていたコーカサスバイソンの個体数は、一時は700頭以上にまで回復します。
しかし、ロシア革命を機に保護がなくなると、住民や反乱軍による乱獲が激しいものとなり、再び数は急速に減っていきました。
コーカサスバイソンは皇帝に保護されていたことで、堕落した国の象徴とみなされ、容赦なく狩られていったのです。
1921年に最後の野生個体が撃ち殺され、1925年2月26日に飼育下の個体が死んだことで、コーカサスバイソンはこの世から姿を消してしまったのです。
「コーカサスバイソン」の生き残りの可能性
野生においても飼育下においても、コーカサスバイソンが生き延びているという報告はありません。
まとめ
堕落した権力の象徴として、人民に憎まれ、狩られていったコーカサスバイソン。
政治的闘争だなんだと言っても、結局彼らも人間たちの身勝手さのために犠牲になったと言っていいでしょう。