「サルジニアナキウサギ」。この名前を初めて耳にするという方も多いのではないでしょうか。
通説では、ローマ時代に絶滅したと言われているため、その写真はおろか情報すらも、この世の中にほとんど出回っていないという、謎に包まれたウサギなのです。
そこで今回は、
- サルジニアナキウサギってどんなウサギだったの?
- どこでどうやって暮らしていたの?
- どうして絶滅してしまったの?
- 生き残りがいる可能性はあるの?
ということについて調べてみました。
「サルジニアナキウサギ」とは
分類上の特徴
サルジニアナキウサギは、その名前からエゾナキウサギなどナキウサギの仲間かと思われがちですが、分類上はそうではありません。
ウサギは3つの科に分類されます。ウサギ科、ナキウサギ科にはそれぞれ数種類〜多種のウサギが属していますが、プロラグス科に属しているのはサルジニアナキウサギただ1種のみです。
簡単に言うと、ウサギ科とナキウサギ科の間に属する科です。他の科のウサギたちと同じように、ネズミなどのげっ歯類にとても近い特徴を持っていたと言われています。
身体的特徴
サルジニアナキウサギは体長25~30㎝、体重500g~525gくらいの大きさです。
一般的にペットとして親しまれている小型のウサギ・ネザーランドドワーフが、体長おおよそ25㎝、体重1㎏くらいということですから、サルジニアナキウサギもウサギの中では小型のものだったと言えるでしょう。
姿かたちは、私たちがウサギと聞いて想像するものとは少し違います。
うさぎと言われれば、耳が長く、前足と比べて後ろ脚の発達したものを思い浮かべるかもしれません。しかし、サルジニアナキウサギはウサギとモルモットを混ぜたような見た目をしています。
足は短く胴体は丸く、耳も短く、尻尾も殆どありません。
「サルジニアナキウサギ」の分布・生息地
サルジニアナキウサギは、地中海に浮かぶ島・サルディニア島とコルシカ島の固有種でした。
書物や化石から、かなり多くの数が島で生息していたことがわかっています。
海抜0~800mくらいの、穴の掘りやすい土地で暮らしていたそうです。現存するナキウサギ科のウサギたちと同じように、巣穴を掘って暮らしていたのかもしれません。
また、サルジニアナキウサギは完全草食のウサギです。サルディニア島もコルシカ島も、現在でも自然の多く残る島ですから、サルジニアナキウサギも暮らしやすかったのでしょう。
「サルジニアナキウサギ」の絶滅した原因
絶滅の原因としては複数あると言われています。
食用目的で狩られた
6000年前に島にやってきた人間によって、サルジニアナキウサギはその多くが食用に狩られてしまったそうです。
これが直接の原因ではないと言われていますが、ここで個体数がぐんと減ってしまったのは確かのようです。
これは逸話ですが、かつてサルディニア島に存在した「ヌラーゲ文明」では、サルジニアナキウサギの肉は珍味として喜ばれていたようです。
農地開拓
ローマ時代に行われた大規模な農地開拓によって、多くのサルジニアナキウサギたちが住処を追われることになってしまいました。
人間の持ち込んだ捕食動物
人間がサルジニアナキウサギを餌とする動物を持ち込んだために、生存競争に敗北してしまいました。
人間の持ち込んだ病原菌
ローマ人が2つの島に持ち込んだウサギが保有していた病原菌に感染してしまったそうです。
どんな理由であれ、、人間たちの島への上陸が、絶滅の引き金を引いたことは間違いないでしょう。
「サルジニアナキウサギ」の生き残りの可能性
上記の通り、サルディニア島とコルシカ島で絶滅した後も、その付近の小さな島で、1770年~1780年くらいまでは生存していたと言われています。
しかしそれ以降は目撃情報などもないため、やはり完全に絶滅してしまっていると考えられます。
また、CiNiiやGoogleScholar、J-STAGE等複数の論文検索サイトでサルジニアナキウサギについて検索したところ、一つもヒットしませんでした。
やはり絶滅した時期が余りに遠く、研究の元となる手掛かりも少なすぎるためか、現在ではサルジニアナキウサギについて熱心に調べている人はいないようです。
まとめ
幻のウサギ、サルジニアナキウサギについて調べてみました。
絶滅しているだけあって、知り得る情報には限りがありますね。