「シマハヤブサ」とは
シマハヤブサは、タカ目ハヤブサ科の鳥類で、ハヤブサの固有亜種とされています。
ハヤブサの亜種は全部で19亜種に分かれており、シマハヤブサはそのうちの1種です。
全長は、雄が約38cm、雌が約46cmで、翼を広げた際の全長は84~120cmにもなるといわれています。
猛禽類の仲間で、鋭いくちばしと他の動物を捕食する、動物食の鳥類であるという特徴があります。
また、ハヤブサの仲間は鳥類の中でも最も速く飛ぶことができるという説もあります。
獲物を獲る際、翼をたたんで急降下するときの最高速度は、時速約387㎞ともいわれています。
「シマハヤブサ」の分布・生息地
シマハヤブサは、硫黄列島北硫黄島にのみ生息していた固有亜種です。
北硫黄島とは、小笠原諸島にある火山列島の一部で、噴火浅根を火山体とした、頂上部分が海上にでている火山島となっています。
ハヤブサと同様に、河川、湖沼、海岸などを主な生息域としていますが、適応性が高く、高層ビルなどの人工物での営巣例も確認されているようです。
食性は動物食の猛禽類で、主にスズメやハト、ムクドリやヒヨドリといった中型の鳥類を食べています。
「シマハヤブサ」の絶滅した原因
シマハヤブサは、現在環境省のレッドリストにおいて「絶滅」と記されています。
しかし、標本の採集が行われたのは1920年代から1930年代のみであり、最近の調査はほとんど行われておらず、生息状況の実態は不明となっています。
1920年代~1930年代に、北硫黄島で31羽が採集されていますが、第二次世界大戦後に北硫黄島には住民がいなくなり、渡航が困難になってしまったことも調査不足の原因と考えられます。
しかし、太平洋戦争時に、北硫黄島の環境は激変していることからも、すでに絶滅している可能性が高いと考えられています。
「シマハヤブサ」の生き残りの可能性
シマハヤブサは、北硫黄島という限られた環境でのみ生息していたと考えられていますが、小笠原諸島や伊豆七島でも生息しているという説もあるようです。
しかし、小笠原諸島では実際に確認はされておらず、信憑性のあるデータかどうかは不明です。
また、1932年2月に八丈島で採集された個体が、シマハヤブサであったという情報もありますが、八丈島で繁殖した個体かどうかは不明です。
しかし、北硫黄島と八丈島ではかなり距離が離れているため、八丈島で繁殖した個体である可能性も否定はできません。
さらに、1990年代には、さらに沖に位置する鳥島でもハヤブサの目撃情報があるようですが、シマハヤブサかどうかは定かではないようです。
いずれにせよ、シマハヤブサが生息している可能性がある島は、無人島であったり、渡航が困難な場所に位置することが多く、調査が行き届いていないのが現状であると考えられます。
それにより、私たちの目の行き届かない場所で、生き残っている可能性もあるかもしれません。