「セーシェルアゲハ」とは
セーシェルアゲハは、昆虫綱チョウ目アゲハチョウ科に属するアゲハチョウの仲間です。
これまでにオスメスの1組が目撃されたのみで、すでに絶滅したと考えられており、生態に関する情報はわからないことが多いです。
近縁種として、レニユオンアゲハが知られていますが、こちらの種も個体数が減少しており、レッドリストにおいて絶滅の危機がある種(VU)と示されています。
セーシェルアゲハは、レユニオンアゲハの約半分程度の大きさしかなかったといわれています。
レユニオンアゲハの大きさが5cm程度なので、セーシェルアゲハは2cm程度の小柄なチョウの仲間であったことがわかります。
セーシェルアゲハは雌雄異体であり、雄は黒い翅に青い模様を持ち、とても綺麗です。
雌は薄い茶褐色に、白い模様が入っています。
レユニオンアゲハとセーシェルアゲハの外見は非常によく似ており、大きさが違うことで識別されていますが、レユニオンアゲハが小型化した種であるという説もあるようです。
「セーシェルアゲハ」の分布や生息地
セーシェルアゲハは、インド洋に浮かぶイギリス連邦加盟の島、「セーシェル諸島」に生息していたといわれています。
セーシェルアゲハという名前は生息地からつけられているようです。
幼虫のころは日本のアゲハチョウと同じく柑橘類の葉を餌としています。
生活高度は、レユニオンアゲハと同様に300~1200mと比較的高度であることが推測されます。
「セーシェルアゲハ」の絶滅した原因
セーシェルアゲハは、これまでに雌雄の1ペアしか見つかっておらず、1950年ごろに絶滅していると考えられています。
しかし、発見された個体数が少ないことからも、セーシェル諸島への移入者が持ち込んだ柑橘類の木に偶然ついており、外来種として島に入ってきた2匹の蝶が偶然発見されたという可能性も考えられます。
また、餌としていた柑橘類の葉にアブラムシなどが発生し、蝶の食べる餌がなくなってしまったため、近縁種であるレユニオンアゲハが小型化したものなのではないかという説もあるようです。
その他に考えられる原因としては、人間による環境の変化によるものです。
セーシェル諸島は、リゾート地として人気を集めています。
その反面、多くの生き物が絶滅、または絶滅の危機に脅かされています。
人間が入植したことによる土地開発で自然環境が変化し、これまでいた多くの生き物の生息地が失われたり、移入された生き物によってバランスが崩れてしまったことが考えられます。
セーシェルアゲハも、その例外ではないと考えられます。
また、その都市開発のため、果樹栽培が発達し、害虫や伝染病が蔓延し、農薬が用いられたことも原因の一つとして考えられます。
「セーシェルアゲハ」の生き残りの可能性
セーシェルアゲハは、これまでの目撃例が2個体しかない、非常に情報の少ないチョウです。
レユニオンアゲハの亜種とされていますが、情報の少なさからも分類自体を疑問視している専門家もいるようです。
また、そのほかにもレユニオンアゲハの亜種はいくつか知られていますが、目撃情報が少ない種が多く、分類群自体の議論を行う必要があるのではないかとされています。
こうしたことにより、セーシェルアゲハの分類が見直され、絶滅種ではないとされる可能性もあるかもしれません。
また、もしセーシェルアゲハが人間が持ち込んだ柑橘類についていた外来種であるとすれば、どこか別の場所で生き延びている可能性もあるかもしれません。