「ナニミエンヤウオ」とは
ナニミエンヤウオは、ネット上では、1982年に絶滅した魚類で、タイの仲間であると記されています。
しかし、それにかんする正確な情報は見当たらず、どこに生息していて、どんな特徴があったのか、またなぜ絶滅してしまったのか、謎に包まれた魚なのです。
「ナニミエンヤウオ」は本当に実在したのか
ナニミエンヤウオの正体を確認するため、「1982年に絶滅した魚類である」という情報を元に、絶滅した生き物や絶滅の恐れのある生き物を取りまとめている、「IUCN レッドリスト」において、絶滅したと記されている魚類を調べてみました。
その結果、1982年に絶滅したとされている種の中の、条鰭類(Actinopterygii)は、
Characodon garmani、Coregonus fera、Cottus echinatusの3種のみで、いずれも淡水魚であることがわかりました。
タイの仲間は、汽水域にも生息することがありますが、基本的には海水魚であり、河川に近づいたとしても河口域までです。
つまり、絶滅したとされている3種は、タイの仲間の「ナニミエンヤウオ」ではないということがわかります。
IUCNのレッドリストには、海水魚も含まれています。
しかし、限られた生息範囲しかない湖や河川では、調査の結果、絶滅したと考えられることはありますが、それとは比べ物にならないくらいの広い海では、基本的に世界中とつながっており、河川に比べてその体積は比較にならないくらい広大です。
そのような環境の中で絶滅したと判断できる調査は不可能であることが多く、絶滅の記載のある魚類も、圧倒的に少ないのです。
また、日本の魚類には混乱を防ぐために標準和名が1種につき1つ、ついていますが、「ナニミエンヤウオ」という標準和名は確認できませんでした。
なにかの別名の可能性もありますが、少なくとも日本産魚類でそのような正式な和名は見当たりません。
またナニミエンヤウオは学名も不明で、どの種を指しているのかも判断できず、上記のことから、その存在自体が疑わしいと考えられます。