「ネグロスケナシフルーツコウモリ」とは
ネグロスケナシフルーツコウモリは、翼手目オオコウモリ科に属する、フルーツコウモリの仲間です。
別名「フィリピンケナシフルーツコウモリ」、「ケチャップマンケナシフルーツコウモリ」とも呼ばれています。
他のコウモリの仲間は、昆虫や動物質の餌を主食としていることが多いですが、フルーツコウモリの仲間は、果物や花の蜜などの植物質を主食としています。
「フルーツコウモリ」という名前も、餌からきているといわれています。
前腕長は12~13mで、翼によってすれてしまうため、背中には毛がありません。
名前にある「ケナシ」というのは、背中に毛がないことから由来しているようです。
他のコウモリのように超音波を使って餌を探しているのではなく、視覚と嗅覚を使って餌を探しています。
「ネグロスケナシフルーツコウモリ」の分布・生息地
ネグロスケナシフルーツコウモリは、フィリピン中部に位置するネグロス島と、セブ島に生息していました。
コウモリというと、洞窟に生息しているイメージが強いですが、ネグロスケナシフルーツコウモリは、主に果実などの植物質を餌としているため、それらが確保できる、海抜200mの森林地帯に生息していたようです。
「ネグロスケナシフルーツコウモリ」の絶滅した原因
ネグロスケナシフルーツコウモリの生息していたネグロス島やセブ島は、20世紀に入ってから人間による開発が進められました。
これにより、コウモリたちの餌である果実のもととなる熱帯雨林が伐採されてしまいました。
また、農業の肥料として利用するため、ネグロスケナシフルーツコウモリの糞が採取されました。
さらに、この糞には「ニトログリセリン」という、有機化合物で、爆薬の一種でもある成分が含まれていることがわかり、さらに需要が高まってしまったのです。
捕獲されたネグロスケナシフルーツコウモリは、糞を採取された後食用として食べられてしまいました。
こういった要因から個体数が減少し、1964年以降に報告がなく、絶滅したと考えられていました。
1981年には、森などの徹底的な調査が行われましたが、再発見にはいたっていません。
しかし、その後2001年にはセブ島で、そして2003年にはネグロス島で再発見され、現在も生き残っています。
再発見された「ネグロスケナシフルーツコウモリ」の今後
上記にも述べたように、ネグロスケナシフルーツコウモリは、一度絶滅が宣言されてから再発見が確認できた生物です。
しかし、現在の繁栄についての正確な情報はなく、おそらく生存している個体数も少ないことが推測できます。
環境の変化や人間による影響で一度絶滅してしまった生き物なので、私たち人間が、再度その環境を見直さなければ、また絶滅してしまう可能性は十分にあると考えられます。
私たちは、こういった種が生き残っていけるよう、お互いが棲みやすい環境を作っていく必要があるでしょう。
このような、絶滅したと考えられていた生き物の再発見のニュースは、他の絶滅種に対しても生存の希望を持つことができる明るいニュースでもあります。
コウモリの仲間だけでなく、他の絶滅した生き物についても、再発見の明るいニュースが増えてくるよう、環境についても考えていきたいものです。