ハイイロハマヒメドリとは、鳥類スズメ目ホオジロ科に属する鳥類です。
ハマヒメドリの亜種とされており、1990年12月に正式に絶滅したと宣言されています。
ハイイロハマヒメドリは、1872年3月17日に、アメリカの鳥類学者である「チャールズジョンソンメイナード」によって発見され、1873年に種として分類されました。
ハマヒメドリは、灰色および茶色がかった体に、胸の部分に縞のような模様があり、喉の部分は白っぽいのが特徴です。
それに対し、ハイイロハマヒメドリは、ハマヒメドリよりも全体的に少し暗い色をしていたようです。
「ハイイロ」という名前も、その見た目からつけられたのではないかと推測できます。
詳しい生態についてはわかっていないことが多いようですが、他のハマヒメドリと同様に、海洋無脊椎動物や種子を食べていたと考えられます。
「ハイイロハマヒメドリ」の分布・生息地
ハイイロハマヒメドリが見つかったのは、フロリダ州にあるメリット島という島の太平洋沿岸と、セントジョンス川の上流の沼地です。
また、最後に確認されている明確な既知個体は、アメリカのウォルトディズニーワールドのディスカバリー島にいた個体で、1987年に死亡が確認されています。
ハマヒメドリの仲間は、湿地を好んで生息し、沿岸部や湿地の植生で餌を獲り、繁殖をしています。
ハイイロハマヒメドリが見つかった場所から考えても、おそらく他のハマヒメドリと同じように湿地を好んで生活していたことが想像できます。
「ハイイロハマヒメドリ」の絶滅した原因
ハイイロハマヒメドリは、1981年には、5匹の個体の生き残り確認されており、繁殖の試みがなされていましたが、残された個体はすべてオスだったため、純粋なハイイロハマヒメドリの遺伝子を残すことは難しかったようです。
また、他のハマヒメドリと繁殖させ、半分の遺伝子だけでも残そうという試みもなされましたが、残念ながら失敗に終わっています。
ハイイロハマヒメドリの生息していたメリット島には、ケネディ宇宙センターが設立されています。
この、ケネディ宇宙センター周辺の害虫を駆除するため、島には(DDT農薬(有機塩素系の農薬)がまかれたそうです。
これにより、ハイイロハマヒメドリの個体数はいっきに減少してしまったと考えられています。
また、ハイイロハマヒメドリが好んで生息していたと考えられる湿地も、石油産業や、高速道路の設立のために汚染物質が排出されました。
これも、個体数の減少に大きな影響があったと考えられます。
「ハイイロハマヒメドリ」の生き残りの可能性
ハイイロハマヒメドリは、まだ絶滅していないころに、繁殖の試みや保全活動が積極的に行われていました。
しかし、その努力は叶わずに絶滅に至ってしまっています。
また、生息地が限られていることからも、生き残りの可能性はきわめて少ないと考えられます。
しかし、ハイイロハマヒメドリのDNAは、他のハマヒメドリと同じだという説もあるようです。
こういったことからも、分類の見直しにより、現在生き残っている他のハマヒメドリと同種になり、生存していることになる可能性はあるかもしれません。