「バッドランドオオツノヒツジ」とは、偶蹄目ウシ科ヤギ亜科に属するヒツジの仲間で、ビックホーン(オオツノヒツジ)の亜種とされています。
1905年にノースダコタで射殺されたのを最後に絶滅したと考えられており、IUCNのレッドリストにおいても絶滅と記されています。
体重は約150kgで、亜種とされているオオツノヒツジは体長142~170cm程度であるため、それよりも大型であったことがわかります。
雄の頭には、下向きに丸くカーブする2本の大きな角がついているのが特徴的です。
「バッドランドオオツノヒツジ」の分布・生息地
オオツノヒツジの仲間は、カナダ南西部からカリフォルニア半島を含むメキシコまで、北米大陸の広大な範囲に分布していました。
バッドランドオオツノヒツジもその亜種ですが、主にアメリカ合衆国(ノースダコダ州、サウスダコダ州、ネブラスカ州、モンタナ州、ワイオミング州)に生息したといわれています。
「バッドランド」とは、岩山地帯のことで、岩山がむき出しの地帯に生息していたことから名前が付けられています。
大きな体を器用に使って、岩山や壁を移動し、餌となる草木や低木を食べるときには草原にも移動して生活していたようです。
「バッドランドオオツノヒツジ」が絶滅した原因
バッドランドオオツノヒツジの生息地には、「スー族」とよばれるアメリカの先住民が住んでいました。
スー族は、食用や皮を利用するために、ヒツジたちを捕獲していました。
スー族の狩りの方法は独特で、ヒツジの角を頭につけて偽装し、群れに接近して捕獲していたようです。
スー族によるヒツジの捕獲数はあまり多くはなかったようですが、ヨーロッパからやってきたハンターは、容赦なくヒツジたちを捕獲し、角や皮をオブジェとして利用していたようです。
ハンターたちの盛んな狩りにより、バッドランドオオツノヒツジたちは絶滅に追いやられてしまったといわれています。
「バッドランドオオツノヒツジ」の生き残りの可能性
バッドランドオオツノヒツジは、オオツノヒツジの亜種であるといわれており、オオツノヒツジの亜種の中には現在も生き残っている種もあります。
しかし、現在生き残っているオオツノヒツジの亜種は、遺伝的には「ロッキービッグホーン」「シエラネバダビッグホーン」「ネルソンビッグホーン」の3種であるという説もでてきています。
バッドランドオオツノヒツジは、すでに別種として絶滅したとされていますが、今後の分類の見直しにより同種とされる可能性もあります。
そうなれば、私たちは再び「バッドランドオオツノヒツジ」とよばれるオオツノヒツジに出会うことができるかもしれません。