「ヒメウサギワラビー」とは
ヒメウサギワラビーは、有袋目カンガルー科に属する、小型のカンガルーの仲間です。
1932年に頭蓋骨が発見され、1943年にヘドリー・ハーバート・フィンレイソンによって記述されています。
体の大きさは、他のウサギワラビーと同様、約50cm程度で、ウサギと同等だったと考えられていますが、情報が少なく、わからないことが多い絶滅動物です。
オーストラリアの先住民である、アボリジニの知識によると、ヒメウサギワラビーは非常に柔らかく、長くて灰色の毛皮で覆われ、足のてっぺんに特に長い毛皮があったようです。
そして、尾は太く手長く、カンガルーのように飛んで移動をしていました。
ウサギワラビーを含む有袋目の動物は、生まれてすぐに母親のお腹にある袋の中に潜りこみ、約2か月は袋の中で生活をするという特徴をもっています。
基本的に一度に1個体のみを出産すると考えられていますが、2個体出産することもあったようです。
「ヒメウサギワラビー」の分布・生息地
ヒメウサギワラビーは、940年代から1960年代まで、オーストラリアの中央砂漠と西武の砂漠で発見されています。
1940年代後半まではオーストラリア北部のタナミ砂漠、1960年代前半まではギブソン砂漠に存在していたと述べている研究者もいるようです。
これらの地域は、共通して草や低木がある乾燥地帯で、ヒメウサギワラビーは、特に暑い時期は低木の葉を巣穴の蓋として活用することもあったようです。
また、草食性で主に草木を食べていたといわれています。
「ヒメウサギワラビー」が絶滅した原因
ヒメウサギワラビーが絶滅に至った主な原因は、生息地に導入された、猫やキツネなどの外来生物の捕食による影響であったと考えられます。
また、1900年代にオーストラリア中央で干ばつが起こりました。
これにより、森林火災が急増し、ヒメウサギワラビーの生息地の多くも失われ、餌となる草木も減少しました。
これも、絶滅に至った原因であると考えられます。
また、オーストラリアでは、放牧産業が盛んになり、開拓が行われました、これにより、ウサギワラビーが隠れ家としていた草木が失われ、より猫やキツネなどの捕食者に狙われやすくなったことも考えられます。
「ヒメウサギワラビー」の生き残りの可能性
ヒメウサギワラビーは、1932年に頭骨が見つかったのみで、残りの情報は先住民のアボリジニが残した記録となっています。
情報が非常に少なく、これまでに目撃情報もありますが、どれも信憑性のあるものではなく、これまでに見つかっていません。
これらのことからも、生き残りの可能性は極めて少ないと考えられます。
しかし、現在オーストラリアでは、生き残っているワラビーの保護活動に力を入れています。
他のワラビーを導入し、繁殖を計画したり、生息環境の見直しがなされています。
こうした活動により、ひっそりと生き延びているかもしれない絶滅した動物に、再び会える日がくるかもしれません。