「ベガスヒョウガエル」とは
ベガスヒョウガエルは、無尾目アカガエル科に属するカエルの仲間です。
体長はオスが約44~64㎜、メスが46~74㎜程度です。
体色は、ドル紙幣のような緑色で、褐色の斑点がありますが、成長するにつれて目立たなくなるようです。
春の繁殖期を除いてはあまり動かず、おとなしいカエルといわれていますが、詳しい生態についてはわかっていないことが多く、卵も発見されたことがありません。
砂地に穴を掘って産卵をしているのではないか、という説もありますが、詳しいことはわかっていないようです。
ちなみに、卵は見つかっていないものの、オタマジャクシは確認されています。
1930年代から1940年代のはじめにはベガスヒョウガエルの姿は見られなくなり、1960年には絶滅したと考えられています。
「ベガスヒョウガエル」の分布、生息地
ベガスヒョウガエルは、アメリカ合衆国ネバダ州のカジノの都、ラスベガスが建設される前のネバタ砂漠に生息していました。
この地にある、砂と土に囲まれた、「ラスベガス・バレー」という砂漠性盆地にある湧水から発見され、1891年に新種として記載されました。
ベガスヒョウガエルという名前も、生息地からついているようです。
「ベガスヒョウガエル」の絶滅した原因
ベガスヒョウガエルの生息地である「ラスベガス・バレー」は、静かな砂漠盆地でした。
しかし、現在はラスベガスの中心都市ともいわれ、ネバダ州最大の人口といわれています。
また、多くのショッピングおよび高級料理を提供する施設が充実し、リゾート開発やカジノなどの娯楽施設が多くあることが有名です。
この「世界の娯楽首都」ともよばれるラスベガスを作るために、町で必要とされる水を調達するため、周囲の湧水は干上がってしまったといいます。
また、わずかに残っていた川や池には、大型のウシガエルや、娯楽として利用されていたフィッシング用のニジマスが放流され、ベガスヒョウガエルの生息環境はどんどん減っていきました。
こうした人間による影響で、発見からたったの50年で、ベガスヒョウガエルは姿を消してしまったと考えられます。
「ベガスヒョウガエル」の生き残りの可能性
ベガスヒョウガエルは、1960年代に絶滅したと考えられています。
この少し前、1930年ごろから、ラスベガスではリゾート地としての知名度があがり、砂漠の開拓が進められ、現在ではラスベガスの水資源のほとんどは、人間の生活や娯楽の施設のために使われているようです。
こうした背景からも、現在ベガスヒョウガエルが生き残っている可能性はきわめて少ないと考えられます。
しかし、ベガスヒョウガエルは、最初に述べた通り卵を発見した人はおらず、繁殖生態は謎に包まれたカエルです。
私たちの想像を絶するようなところで産卵、ふ化し、ひっそりと生き延びているかもしれません。
いずれにせよ、ベガスヒョウガエルは私たち人間の娯楽施設の開拓などによって生息環境がなくなってしまったカエルです。私たちの快適な生活の裏では、こういった生き物たちがいることも忘れてはいけません。