「ミミナガキットギツネ」とは
ミミナガキットギツネは、食肉目イヌ科に属するキツネの仲間で、キットギツネの亜種とされています。
体色は黄色がかった灰色で、尾は灰色をしています。
耳がまっすぐ立っている点以外は、他のキットギツネと大きな違いはありません。
体長は35~50cm、尾の長さは22.5~30cm、体重は2キロ程度です。
キットギツネは現在個体数は減少してはいるものの、生存が確認されていますが、ミミナガキットギツネは1910年に絶滅したといわれています。
「ミミナガキットギツネ」の分布・生息地
ミミナガキットギツネは、アメリカ合衆国カリフォルニア州に生息していました。
生息地も他のキットギツネと変わらず、標高400~1900mにある砂漠や草原、藪地などで暮らしています。
深さ3メートルほどの、入口が複数ある巣穴を掘って生活していますが、プレーリードッグなどが掘った穴を、餌を獲りに行っている隙に横取りするような行動もみられたようです。
キットギツネは、秋ごろにオスとメスでペアを形成し、冬に交尾を行い、1~9頭の子どもを産むとされていますが、生後1年以内の死亡率は74%とも考えられており、成熟する個体は多くはありません。
ミミナガキットギツネについての繁殖形態はわかっていませんが、おそらくキットギツネと変わらないと考えられます。
「ミミナガキットギツネ」が絶滅した原因
カミミナガキットギツネは、1910年に絶滅したといわれていますが、その原因の一つとして、カリフォルニアに移民した人間による開拓があげられます。
ミミナガキットギツネは、人間たちが生活のために開拓した田畑や家畜を襲うことがあったため、罠をしかけられたり、エサに毒を混ぜて殺したりと、人間たちはミミナガキットギツネの駆除を行いました。
また、1869年に、大陸の端から端までをつなぐ大陸横断鉄道が開通され、人間の行動範囲が広がり、ミミナガキットギツネを狙うハンターたちも幅広い場所でハンティングを行うようになりました。
キツネの毛皮は、主に防寒具やファッションなどの需要が高く、高額で取引されることが多いのですが、ミミナガキットギツネの毛皮は、先住民のインディアンに「汚れ物」と呼ばれるほどシラミがついており、あまり需要がありませんでした。
それにもかかわらず、アメリカの人口が増えたことで、ミミナガキットギツネのハンティングも盛んになり、絶滅に至ったといわれています。
「ミミナガキットギツネ」の生き残りの可能性
ミミナガキットギツネを含むキットギツネには、多くの亜種が存在しています。
その中でも、絶滅している種も数種いますが、個体数を減らしながらもまだ生き延びている種もいます。
キットギツネの亜種は、外見的な識別が難しい亜種も多く、種の同定が正しく行われていない可能性も大いにあります。
このことからも、ミミナガキットギツネが、他の種と混ざって生き延びている可能性も否定できません。
今まだ存在しているキットギツネの仲間も、絶滅の危機が迫っている種も多くあります。
これらが絶滅しないよう、私たちは彼らの棲む環境保全に勤め、共存していかなければなりません。