1887年に、宮古島で一匹の鳥の標本が発見されました。
「ミヤコショウビン」と名付けられ、新種だと定義されたこの鳥は、その情報の少なさから「幻の鳥」だとされています。
今回はその特徴と、彼らを取り巻く議論についてまとめてみました。
「ミヤコショウビン」とは
身体的特徴
生体が全く観察されていないため、標本からの情報になります。
体長約20㎝、頭と胸、腹はオレンジ色がかった褐色で、クチバシの付け根から目の後ろ黒い帯状の部分があるようです。
「ミヤコショウビン」の分布・生息地
南部琉球の宮古島に生息していたと言われていますが、ここで観察・採集・撮影がなされたという記録は全く残っていないため、はっきりと言い切ることはできません。
「ミヤコショウビン」の絶滅した原因
絶滅の原因として、人間の活動によるマングローブ林の減少・消失があると言われています。
「ミヤコショウビン」の種としての独立について
生存の証拠が世界にたった一つ残る剥製のみであること、それが採集された1887年の以前にも以降にも姿を見たものが誰もいないということから、ミヤコショウビンが独立した種ではないのではないかという議論もあります。
また、太平洋諸島に生息するズアカショウビンと形態的な差がごくわずかであることからも、ズアカショウビンが宮古島に迷い込んだか、あるいは太平洋諸島で採集された個体が宮古島に持ち込まれただけではないかと指摘されているのです。
ミヤコショウビンと思われる個体の標本を保存している、公益財団法人の山階鳥類研究所によると、この標本を採集したと言われる田代安定氏は、かつて鳥類の調査のためにグアムを訪れていたそうです。
そこでお土産としてもらってきた鳥が、宮古島で採取されたと取り違えられた可能性があるため、ミヤコショウビンが独立した一つの種であるかどうかは、今のところ断定はできないとのことです。
まとめ
誰も生きている姿をしらない幻の鳥・ミヤコショウビン。
現在の技術では古い剥製からもDNAを採集することが可能であるため、彼らの実在・不在が証明されるのも、そう遠い未来の話ではないかもしれません。