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【フロリダパンサーとは】特徴や生息地・絶滅危惧種保護の取り組みを紹介

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「フロリダパンサーってどんな動物?」

「フロリダパンサーはフロリダにいるの?」

「フロリダパンサーは絶滅危惧種?」

フロリダパンサーは、種名にパンサー(panther)とありますがピューマ(puma)の亜種です。

1970年代に20頭前後となるまで数を減らし、IUCN(国際自然保護基金)のレッドリストに記載されましたが、2008年以降は分類学上の議論もあり記載はされていません。

米国内では、「絶滅の危機に瀕する種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づいて保護されています。フロリダ州を本拠とするプロアイスホッケーのチーム名でもあり、地元で愛されるシンボリックな動物です。

最後まで読んでいただくと、フロリダパンサーの特徴・生態・分布域・絶滅危惧種になった理由などについて知ることができますので、ぜひご覧ください。

フロリダパンサーとは

フロリダパンサーは、米国フロリダ州にすむネコ科の大型肉食動物です。

19世紀後半に、食肉目ネコ科であるピューマ(注)の中でも特殊な亜種とされました。しかし、近年のDNAの研究により、北米に生息する他のピューマの亜種とフロリダパンサーが区別できないことが判明し、現在では北米の全てのピューマは1つの亜種との認識です。

それでもなお、フロリダパンサーが南フロリダに残されたピューマの個体群として希少であることには変わりなく、米国では種の保存法に基づき絶滅危惧種として保護されています。

注.ピューマ(puma)は、英語でクーガー(courger)とも呼ばれています。

フロリダパンサーの特徴

北アメリカ最大のネコ科動物といわれるピューマの体重は最大100kgほどですが、ピューマの中でもフロリダパンサーはやや小型です。

フロリダパンサーは、体長は約1.8〜 2.1m・オスの体重は 45〜 72 kg ・メスの体重は30〜45kgほどで、オスの方が大きくなります。尾は胴体と同じくらいの長さです。

灰褐色の胸部と腹部以外は全身黄褐色ですが、尾の先端と耳・鼻の周りに黒い模様があります。顔つきは、黒い模様のために野性味あふれる印象となっています。フロリダパンサーは肉食獣の威厳を備えた、大型の野生ネコといえるでしょう。

フロリダパンサーの食べもの

フロリダパンサーは肉食で、イノシシ・オジロジカ・アライグマ・アルマジロなどが主な餌です。ウサギ、ネズミ・鳥などの小動物やワニを食べることもあります。

獲物にできる限り近づき、跳びついて仕留めるのがフロリダパンサーの狩りの方法です。

フロリダパンサーが必要とする餌量は、1週間にシカ1頭ほどです。子育て中のメスは、この2倍の量を必要とします。フロリダパンサーが生きていくためには、十分な餌動物が存在する豊かな環境が必要なのです。

フロリダパンサーの縄張りと繁殖

フロリダパンサーは繁殖期以外は単独行動し、爪痕やフンなどで自分の縄張りを主張します。オスは非常に強い縄張り意識をもち、縄張り争いで死に至ることもあるほどです。

オスの縄張りはメスよりもはるかに広く、300〜400㎢を超えることもあります。

オスが縄張りを出てメスを探し求めるのは、11〜3月の繁殖期です。メスは約3ヶ月間の妊娠期間の後、1〜3匹の子どもを出産します。

生まれたばかりのフロリダパンサーの子どもは、灰色で0.5㎏ほどです。子どもには暗褐色または黒色の斑点があり森の中でカモフラージュとなりますが、この模様は成長するにつれて徐々に薄くなり半年後にはほとんど目立たなくなります。フロリダパンサーの子育てを担うのは母親です。

約1年半ほどたつと、フロリダパンサーの子どもは自分の縄張りをもって独り立ちします。しかし、全ての子どもが大人になるまで成長できるとは限りません。

フロリダパンサーの分布・生息地

かつてフロリダパンサーは、フロリダからルイジアナ州・メキシコ湾岸の各州とアーカンソー州まで生息していました。しかし現在、フロリダパンサーの生息地は95%も減少し、残されているのはフロリダ半島の南西端のみです。

フロリダパンサーは、湿地・沼地・高地の森林など多様な環境に生息していますが、より好条件である高地の森林を特に好みます。高地の森林は、洪水が頻繁に起こる低地よりも獲物の密度が高く、休息や繁殖に適した乾いた時面と豊かな下層植生があるからです。

フロリダパンサーが安定して生息するには、縄張りとして十分な広さの土地と必要な餌を提供できる豊かな生態系が欠かせません。さらに、継続して繁殖するためには、パートナーと交流するための連続した生息環境を必要としています。

青色部分:過去の分布域
赤色部分:現在の分布域
画像引用元:University of Frolida, Institute of Food and Adricultural Sciences BLOG

フロリダパンサーが絶滅危惧種になった原因

フロリダパンサーは、長年にわたり害獣として扱われたために絶滅の淵へと追いやられました。

西部開拓時代、肉食獣であるフロリダパンサーは人・家畜・狩猟動物を襲う脅威として積極的に駆除されたのです。

特に報奨金が設けられた1832 年以降は駆除数が増し、フロリダパンサーは19世紀後半には米国東部の州から姿を消しています。1920年代には、フロリダ半島以外では確認できなくなりました。

ようやく害獣リストから外され、米国の法的保護措置が取られることになったのは1958年のことです。1967年時点の成獣の個体数は12〜20頭であり、遅すぎた感も否めません。

現在、残されたフロリダパンサーにとって脅威となっているのは、生息地の喪失・劣化・分断化です。

都市化によって森林や周辺農地が開発され適した生息地が減少し、それに伴いフロリダパンサー同士の縄張り争いや近親交配が引き起こされています。また、生息地を分断する道路での交通事故や水銀による環境汚染も個体数減少の一因です。

さらに、外来種のビルマニシキヘビ(Python molurus bivittatus)が餌動物をめぐってフロリダパンサーと競合している可能性を指摘する専門家もいます。

このように保護の対象となった今でも、フロリダパンサーを取り巻く状況は安心できるものではないのです。

フロリダパンサーの保護の取り組み

害獣として迫害されたフロリダパンサーは1960年代に12〜20頭まで数を減らし、その後絶滅危惧種として認識を改められました。

フロリダパンサーは1973年に米国の絶滅危惧種リストに掲載され、DNAの観点からは固有の亜種でないことが分かった今も保護活動は続いています。

現在のフロリダパンサーの生息地は、エバーグレーズ国立公園およびビッグサイプレス国立保護区です。いずれの生息地でも、フロリダパンサーの生息や繁殖が担保されるよう良好な生態系が保全されています。

その他、フロリダパンサーの個体数を回復させるために行われている取り組みをご紹介します。

他地域からの導入

絶滅危惧種となった時点で、フロリダパンサーの成獣の個体数が30頭足らずだったため、1995年にはテキサス州から8頭のメスのピューマが導入されています。

その内5頭のメスが出産し、少なくとも20頭の子どもが産まれました。

その後2007年にはフロリダパンサーの個体数は約100頭となり、遺伝的多様性が増し集団としての健全性が回復されました。2010年代、フロリダパンサーの個体数は200頭以上と推定されています。

現在の生息地を保護することは当然ですが、フロリダパンサーが安定して存続していくためには、生息範囲を他地域へも拡大していくことが必要です。しかし、住民のフロリダパンサーに対する誤解と恐怖心を払拭することは簡単ではありません。

他地域からのピューマの人為的導入はフロリダパンサーの個体数回復に功を奏しましたが、未だ全ての課題が解決されたわけではないのです。

傷ついたフロリダパンサーの保護

ホワイトオークコンサベーションは、交通事故などにより負傷したり孤児となったりしたフロリダパンサーを保護しています。傷ついたフロリダパンサーを治療・リハビリし、野生に戻すことがこの組織の役割です。

傷ついたフロリダパンサーが保護されている間も、人との接触を極力避け野生状態が維持されるよう配慮されなければなりません。

フロリダパンサーは囲われた広いスペースに放たれ生息地に近い環境におかれ、医師と飼育員がセンサーカメラと発信機付きの首輪により監視しています。1986年以降、ホワイトオークコンサベーションは19頭のフロリダパンサーを野生に戻してきました。

しかし、そもそもフロリダパンサーが交通事故に合わないことが一番です。生息地を訪れる場合には、注意喚起の標識とスピードの出し過ぎに注意してください。特に夕暮れから夜明けにかけては、フロリダパンサーが最も活動的になるため配慮が必要です。

住民への補償

フロリダパンサー保護への理解を得るためには、住民への補償も必要となります。

保護動物であっても肉食獣であるフロリダパンサーは、状況によっては家畜を襲うこともあるのです。2010年以来、生息地周辺の牧畜地帯ではフロリダパンサーがペットや家畜を襲う例を例が増えています。

財産を侵害される可能性があってもなお、フロリダパンサー保護に協力してもらうには、防除のための設備や損失の穴埋めなど金銭的な支援が欠かせません。

保護の対象が周辺住民の生活へ与える危害が大きい場合、共存が難しいことは容易に想像できますが、防除対策と補償を組み合わせて理解と協力を得ていくことが重要です。

まとめ

ここまで、フロリダパンサーの特徴・生態・分布域・生息地・絶滅危惧種になった原因などについて、解説してきました。

フロリダパンサーは米国の生息地に行かない限り見られませんが、同じ種であるピューマは日本国内の動物園で間近で観察することが可能です。ピューマを飼育している動物園は次のとおりですが、最新情報はそれぞれの公式サイトでご確認ください。

私たちがフロリダパンサーのために何ができるかと考えた時、フロリダパンサーの保護活動をしている団体に寄付をしたり保護活動に参加したりすることが手段としてあげられます。
代表的な団体は次のとおりです。

食物連鎖のトップに位置するフロリダパンサーは、生物多様性に富んだ豊かな環境のシンボルであり、フロリダパンサーを守ることは貴重な自然環境を守ることにつながります。
フロリダパンサーが生きていける自然環境が少しでも多く維持されることを願ってやみません。

フロリダパンサーに関心をもち情報を得ることは、フロリダパンサーを守るための一歩といえます。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。