オガサワラマシコとは、スズメ目アトリ科の鳥類です。
全長18~19cm、体重は150g~200gと小柄な体系をしています。
頭の大きさに対し、太くて大きなくちばしを持つのが特徴で、雌雄で体色が異なります。
雄は背面が褐色、下面が淡い褐色で、全体的に赤みを帯び、特に頭部が赤くなっています。
それに対し雌は赤みを帯びず、全体的にオリーブ色です。
雌雄ともに背中に縦斑がみられます。
漢字では、「小笠原猿子」と書きます。
なぜ、「猿子」とかいて「マシコ」と読むのかというと、雄の赤みがかった頭部がサルの赤い顔に例えられたからともいわれています。
オガサワラマシコは、江戸時代終盤に当たる1828年に捕獲されたのを最後に、その後の目撃情報はなく、1830年代には絶滅したと考えられています。
現在の日本のレッドデータブックにおいても、絶滅種と記されています。
現在日本に標本なく、1827年~28年に採集された標本が、ヨーロッパやアメリカ合衆国の博物館に所蔵されています。
「オガサワラマシコ」の分布・生息地
オガサワラマシコは、小笠原諸島の父島で繁殖し、海を渡ることはせず、一年中父島に生息していたと考えられています。
名前に「オガサワラ」とついているのも、分布域が由来しているようです。
主に木の実や果物、木の若芽を摂餌し、海岸沿いの林などの地上付近で生活していたと考えられています。
また、普段は地上付近で生活しており、高いところに上ることは稀であり、人間を恐れることはなかったと伝えられています。
オガサワラマシコが絶滅した原因
なぜ「オガサワラマシコ」は絶滅してしまったのか
オガサワラマシコが絶滅したと考えられてる1830年ごろから、小笠原諸島では欧米系やポリネシア系の移民が居住を始めました。
移住者は、農作物を育てるための農地を開拓するために森林を伐採し、ブタやヤギ、ウシなどの家畜を移入しています。
また、このころに多くのネコやイヌが野生化し、ドブネズミやハツカネズミ類も侵入していることが記録されています。
オガサワラマシコが絶滅してしまった主な原因は、人間が居住をし始めたことによる環境の変化が大きいと考えられます。
農地開拓などの影響で、オガサワラマシコの生活環境である森林が減少したこと、また、移入された外部生物が野生化することによる食害による環境の変化や、それらによる捕食、などといった要因が大きかったのではないかと考えられます。
オガサワラマシコが生き残っている可能性
現在日本では、「日本鳥類学会」や、「日本野鳥の会」などといった団体が、鳥類の生態や生息状況などを調査しています。
また、小笠原自然文化研究所や、認定NPO法人 バードリサーチでは、一般の方からの目撃情報も集め、広く調査を行っています。
こういった情報の中でも、現時点ではオガサワラマシコの目撃情報はなため、生き残っている可能性はほとんどないのではないかと推測されます。
ですが、小笠原諸島は「東洋のガラパゴス」ともいわれるほど生物相も広く、島の生物は独自の進化を遂げ、固有種も多く生存しています。
そういった環境の中で、生息域を変化させてひっそりと生き延びている可能性は0ではありません。
もし、小笠原を訪れた際にオガサワラマシコと思われる鳥類に出会ったら、ぜひ写真に収めて調査団体に報告してみてください。
一大ニュースになること間違いなしです。