人類が歴史を刻み始めるよりはるか昔、地球最大級の砂漠・ルブアルハリ砂漠には、かつて富と優雅さを象徴する鳥が暮らしていました。
その名もアラビアダチョウ。
研究対象として注目されるよりも先に絶滅の道をたどってしまった彼らは、いったいどんな鳥だったのでしょうか。
「アラビアダチョウ」とは
身体的特徴
生物学者によってその生体が詳しく研究される前に絶滅してしまったため、姿が詳らかにわかる資料は残されていません。
ダチョウよりもやや小さく、オスと比べてメスは比較的明るい体色をしていたことがわかっているそうです。
また、普通のダチョウとの区別の仕方は、足根(足首)の太さの違いだと言われています。
生態的特徴
アラビアダチョウの歴史は古く、なんと先史時代にはすでにその姿が確認されていたようです。
メソポタミア文明の頃には、絵画のモチーフなどにも使われていました。
他のダチョウと同じように、その羽毛は高値で取引されたようで、次第に富と優雅さの象徴のような存在になっていったと言います。
「アラビアダチョウ」の分布・生息地
20世紀ごろまでは、中東やアラビア半島に広く分布していたようです。
その中でもルブアルハリ砂漠などの乾燥地帯を好んで生活していました。
「アラビアダチョウ」の絶滅した原因
アラビアダチョウは素早い鳥だったため、弓矢や犬を使った従来の狩猟であれば、十分に逃げ切ることができていました。
しかし、ライフルといった進化した銃器の前ではなすすべもなく、過剰な狩猟や密猟などによって、その数を急激に減らしていきました。
ヨーロッパ人の到来や道路開発などで、住処を追われていたというのも理由の一つです。
1920年代末には、野生でこのダチョウの姿を見ることはできなくなっていました。
記録に残っている最期としては、1941年にバーレーンで射殺され食べられたというものや、1966年にワディエルハサ川上流で死んだというものがありますが、正確なことはわかっていません。
「アラビアダチョウ」の生き残りの可能性
正確な記録こそないものの、それ以来目撃情報もないことから、すでに完全に絶滅してしまっていると言えます。
また、このダチョウについてはほとんど真新しい研究などもされておらず、ミステリアスな鳥であることに拍車をかけてしまっています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
残された資料があまりにも少ない彼らは、まさしく幻の鳥。生きて砂漠を駆るその姿を、一度は見てみたかったですね。