強い警戒心と、チーターやトラなどの肉食獣から逃げおおせるほどの脚力を併せ持つ大型草食獣・ガゼル。
その中に、人間にほとんど確認されることなく滅んでいった種がいたというのをご存知でしょうか。
「アカガゼル」。それがそのガゼルの名前です。
今回はこの謎多きガゼルについてまとめてみました。
「アカガゼル」とは
身体的特徴
大型の動物で、体長は140~150㎝ほど。地面から肩までの高さは110㎝程度だったと言われています。
鼻のあたりから目元にかけてくっきりとした黒い線があり、オスには、輪のような隆起のある長さ30㎝ほどの角が生えていました。
メスについては生きているところが確認されていないため、どういった姿をしていたのかは誰も知らないそうです。
生態的特徴
現存するガゼルの種は、基本的に1年に2回出産しますが、アカガゼルは1年に1回しか出産しないものもいたということがわかっています。
しかし、アカガゼルの生活習慣については、専門家の間でも意見が分かれており、はっきりしたことはわかっていません。
「アカガゼル」の分布・生息地
アルジェリアとモロッコの国境地帯、モランの南部で暮らしていたそうです。
トムソンガゼルと同じように、乾いていて開けた土地か、藪に覆われたところでその姿が確認されています。
「アカガゼル」の絶滅した原因
アルジェリアにはもともと、アカガゼルを食べる遊牧民が暮らしていました。
彼らはフランスでの戦争の際に、銃などの近代的な武器を手に入れたことで、さらに容易にアカガゼルを狩ることができるようになっていきました。
その後都市が発展して人口が増加し、肉や皮の需要が増えたこと、市場が社会生活の中心になり、アカガゼルの皮が高値で取引されるようになったことも、乱獲に拍車をかけていきました。
さらに、農地開拓に伴って餌場が減ったことで、彼らは住処を追われてしまいました。
もともと個体数が少なく、貴重な動物ではあったようですが、上記の理由でどんどん数を減らし、ついには絶滅してしまったのです。
「アカガゼル」の生き残りの可能性
アカガゼルの絶滅のタイミングというのは、実は正確にはわかっていません。
1925年まではかろうじて生存したという説や、20世紀の初頭にはすでに絶滅していたという説もあります。
1930年代~1940年代の間に絶滅したとする主張もあります。
いずれにせよ、生きたアカガゼルをこの目で見ることはもう叶わないということは確かなようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
生きた姿はほとんど確認されておらず、多くの謎を残したまま絶滅してしまったアカガゼル。
地球上ではもうお目にかけることはできませんが、その皮はかなり高値で取引されていたようですから、さぞ美しくしなやかな生き物だったのでしょうね。