ガルハタネズミは、決して眠らない街・ニューヨーク……の近くにある、ガル島という無人島で静かに暮らす小さなネズミでした。
「ニューヨーカーに性格が似ている」と言われることもあった彼らは、ある3つの不幸に見舞われ、地球から姿を消してしまいます。
彼らの身にいったい何が起こったのでしょうか。
今回はそんなガルハタネズミについてまとめてみました。
「ガルハタネズミ」とは
身体的特徴
体長15~20㎝、体重40~50g。体毛は長く、灰褐色の個体がほとんどでしたが、すすけた黒色や赤みがかった黄色の毛を持つものもいたようです。
小さくて丸い耳は長い毛に隠れてほとんど見えていませんでした。
生態的特徴
ガルハタネズミは完全草食の動物で、一日かけて自分の体重ほどの量の木の実や根、葉などを食べて過ごしていたそうです。
また、ナワバリ意識が強く、排他的な生き物だったとも言われています。
「ガルハタネズミ」の分布・生息地
アメリカ・ロングアイランド州の東側にある、大小2つからなるガル島という島で、彼らは暮らしていました。
ガル島は波の力で草原や磯が洗われることで、ガルハタネズミが好む湿原を多く有していたのです。
「ガルハタネズミ」の絶滅した原因
とある3つの不幸が連続して起こったことで、ガルハタネズミは絶滅してしまいました。
土地開発
アメリカ本土で起こった都市化の波は、ガル島にも押し寄せてきました。
自然に囲まれていたガルハタネズミたちの住処は、道路やレジャーランドに次々姿を変えていったのです。
スペインとの戦争
1898年、スペインに宣戦布告をしかけたアメリカは、スペインからの攻撃を予想してガル島に巨大な要塞を作り上げました。
結局のところスペインから攻撃されることはなかったのですが、大量の土地が戦争のために作り替えられ、ガルハタネズミはますます居場所を失っていきました。
外来動物
ガルハタネズミの不幸はこれだけでは終わりません。
要塞の駐屯兵たちが、ペットとしてネコを連れてきたのです。
外で放し飼いされることとなったこの小さな肉食獣によって、要塞化の難を逃れたガルハタネズミたちも、次々と狩り取られていったのです。
「ガルハタネズミ」の生き残りの可能性
記録に残る最後の採集記録は1897年のもので、それ以降目撃されたという話はありません。
現在は15体の標本が、ワシントンD.C.に残るのみだと言います。
まとめ
戦争のために住処を追われ、やがて絶滅していったガルハタネズミ。
戦争は人類の歴史にも大きな傷を残しましたが、われわれだけでなく、見えない場所に小さな犠牲者が存在したのです。