生息地も、食料も、絶滅の原因も、何一つとして明確にされていないという謎のコウモリ・オガサワラアブラコウモリ。
彼らの存在を証明するのは、19世紀末に採集されたという模式標本たった一つだけ……
得られた情報は少ないですが、今回は彼らオガサワラアブラコウモリについてまとめてみました。
「オガサワラアブラコウモリ」とは
身体的特徴
頭~胴までが37㎜、尾は31㎜。現存し、日本でもよく見かける種であるアブラコウモリと比較するとやや小さいと言えるでしょう。
アブラコウモリの幼獣に似ているという話もあります。
体毛は黒く、飛膜(コウモリが飛ぶときに用いられる、翼にはられた水かきのような部分を指します)も黒色でした。
耳は小さく丸く、頭も小さく幅が狭かったようです。
「オガサワラアブラコウモリ」の分布・生息地
名前の通り、日本の小笠原諸島母島で暮らしていたと考えられています。
しかし、これは19世紀末に模式標本がそこで見つかったというだけで、そこで実際に暮らしていたという事実を裏付けるものではありません。
そのため、小笠原諸島母島の記載は誤りではないかと指摘する学者もいます。
加えて、小さく飛ぶ力も弱い彼らが、海洋島に分布する例は極めて珍しいことも、模式標本が本当は別の場所で採集され、小笠原諸島に持ち込まれたのではないかという説を後押ししているようです。
「オガサワラアブラコウモリ」の絶滅した原因
彼らは本格的な研究・調査が始まる前に絶滅してしまったため、その経緯や生態に関してわかっていることはほとんどありません。
そのため生存は絶望的であり、1991年には環境省の発表したレッドリストによって絶滅の宣言が出されました。
「オガサワラアブラコウモリ」の生き残りの可能性
小笠原諸島では近年になって、オガサワラアブラコウモリのものと思われる目撃情報が相次いでいますが、どれも信ぴょう性に欠けるものだということです。
まとめ
あまりに情報が少ないことから、その存在までも疑われているオガサワラアブラコウモリ。
証拠も少なく、実際に生きていたと確信を得ることはなかなか難しそうですが、彼らが日本の小さな島で確かに暮らしていたと信じる方が、ロマンがあるとは思いませんか。