「メキシコハイイログマ」とは
メキシコハイイログマは、食肉目クマ科に属するヒグマの仲間です。
ハイイログマの仲間は、「グリズリー」という英名でよばれます。
亜種小名である「horribilis」は、「恐ろしい」という意味もあり、人間を襲った例もあるヒグマとの明確な区別は位置づけられていないようです。
体重は約200kg以上、最大で318kgの個体もいました。
それだけの体重があったのにもかかわらず、ハイイログマの中では小柄だったといいます。
走るのが早く、全速力で走ると時速約65㎞も出たという説もあります。
「メキシコハイイログマ」の分布・生息地
メキシコハイイログマは、メキシコ北部からアメリカ合衆国南西部に位置する、カリフォルニア州南部、アリゾナ州、ニューメキシコ州に生息していました。
ヒグマと同様に主に針葉樹林を中心とした森林地帯に生息し、バイソンやシカなど少し大型の哺乳類から、穴の中で暮らす小動物、魚や木のみなど、なんでも餌として食べていたようです。
「メキシコハイイログマ」の絶滅した原因
メキシコハイイログマは、16世紀に「シボラの七都市」という伝説の都市を求めて遠征にやってきた探検家によって発見されました。
その後、1960年には、メキシコの31の州の一つで、同国北西部に位置するチワワ州において、30頭だけの個体数に減少してしまいました。
そして、1964年に子連れのメスの個体が撃ち殺され、絶滅が宣言されました。
その原因として考えられるのは、1900年代にスペイン人がアメリカに移動し、移住者の入植が進んだことによる影響です。
メキシコハイイログマは家畜を襲う害獣とみなされてしまい、ハンターの対象になってしまいました。
当時の人々は、メキシコハイイログマに対して、「いつかは私たち人間に襲い掛かってくる恐ろしい猛獣」というイメージを強く持っており、人間の強さを見せつけるかのように撃ち殺されたそうです。
その結果、個体数が減少し、1930年代には稀になってしまったといいます。
「メキシコハイイログマ」の生き残りの可能性
メキシコハイイログマは、1964年に絶滅が宣言されてから、1964年にメキシコ北西部に位置するソノラ州のヤキ川源流にある牧場で目撃情報がありました。
それを受けて、アメリカの保全生態学者である「カール・B・コフォード博士」が、約3ヶ月に渡り調査を行いましたが、発見にはいたりませんでした。
このような目撃情報もあることから、私たちの見えないところでひっそりと生き延びている可能性はあるのかもしれません。
しかし、生き残っていたとしても個体数はわずかであるのは間違いないでしょう。
その背景には、私たち人間が害獣として撃ち殺してしまった、という過去があることを忘れてはいけません。