「グアムオオコウモリ」とは
グアムオオコウモリは、翼手目オオコウモリ亜目オオコウモリ科に属するコウモリの一種です。
別名「トクダオオコウモリ」ともよばれています。
グアムオオコウモリを含むオオコウモリの仲間は、比較的大型の種類が多く、翼を広げると
1mにまで達することもあります。
小型のコウモリ類は、「反響定位」という、超音波を使って飛行するため、眼は小さく、耳がよく発達していますが、オオコウモリの仲間は反響定位ではなく、視覚を使って飛行しています。
そのため、眼が大きくしっかりしており、その分耳は小さいく、一般的な哺乳類の顔に近いといわれています。
英語では「空飛ぶキツネ」ともよばれるほどです。
小型のコウモリの仲間は、昆虫などの動物質の餌を主食とするものがほとんどですが、オオコウモリの仲間は果物や花蜜などの植物質を餌としています。
「グアムオオコウモリ」の分布・生息地
グアムオオコウモリは、アメリカ合衆国の準州であり、太平洋にあるマリアナ諸島の南端の縞、「グアム島」に生息していました。
コウモリというと、洞窟の中にいるイメージですが、オオコウモリの仲間は反響定位を使わず、視力に頼って飛行をしていたため、完全な真っ暗な世界では物を見ることができません。
なので、月や星の明るい夜を好んで飛行していたようです。
昼間も、洞窟には入らず、野外で木にぶら下がっていることが多かったようです。
「グアムオオコウモリ」の絶滅の原因
グアム島には、「チャモロ族」と呼ばれる先住民がいました。
チャモロ族は、現在もグアムの人口の約半分を占めています。
この、チャモロ族は、昔からグアムオオコウモリを食べて生活していたようです。
しかし、絶滅に至るまでの食べ方はしていなかったといいます。
しかし、1960年以降、グアム島は太平洋の観光地として知名度が上がり、たくさんの観光客が訪れるようになりました。
そのため、「グアム島の名物」といえる食べ物の需要が高まったのです。
そこで注目されたのが、かつてからチャモロ属によって食べられていた「グアムオオコウモリ」でした。
小型のコウモリとは違い、果物や花蜜などを好んで食べていたグアムオオコウモリは、その餌からも自然に肉に味が付き、その見た目とは裏腹にとてもおいしかったといいます。
グアムオオコウモリは、たちまちグアム島の名物となりました。
その結果、たくさんのグアムオオコウモリが捕獲され、訪れる観光客にどんどん振舞われたようです。
そして、1968年、グアム島のあるレストランで出されたグアムオオコウモリの肉が、最後に生き残っていたグアムオオコウモリでした。
最後の一匹は、人間により食べられ、絶滅に至ってしまったのです。
なお、今現在でも、グアム島では、他のオオコウモリの肉を「グアムオオコウモリ」として提供している可能性もあります。
「グアムオオコウモリ」の生き残りの可能性
グアムオオコウモリの調査について、詳しい情報は少なく、明らかになっていません。
絶滅に至るまで人間により食い荒らされ、最後の一匹も食べられてしまうほどなので、個体数の調査や保護、保全活動などは行われていなかったのではないかと推測できます。
このことからも、もし、グアム島にひっそりとグアムオオコウモリが生き残っていても、調査する団体が少ないことから、発見されていない可能性もあるかもしれません。
しかし、もし生き残りがいたとしても、また乱獲されて捕食されてしまう可能性もあるでしょう。
私たち人間は、生物の多様性にも目を向け、種の保存ができるような捕獲の仕方をし、人間もグアムオオコウモリも生存できる方法をとるべきだったと考えます。