「ルイジアナハタネズミ」とは
ルイジアナハタネズミは、齧歯目ネズミ上科キヌゲネズミ科ハタネズミ属に属するネズミの仲間です。
体の上部に長くて灰色がかった茶色の毛で、体の下部は黄色がかった毛をしています。
耳が短く、尾も短いのが特徴です。
ルイジアナハタネズミは、学名で「Microtus ochrogaster ludovicianus」と書きますが、Microtusochrogaster というのは、ギリシャ語で、「黄色い腹」の「小さい耳」という意味があります。
ルイジアナハタネズミは、1899年にアメリカ合衆国のルイジアナ州で26個体が採集され、子の標本を元に種として記載されています。
カナダから北米中南部に生息する「プレーリーハタネズミ」の1亜種であるとされていますが、亜種とは区別されず、同種であるという研究者もいるようです。
プレーリーハタネズミと別種であるとすれば、ルイジアナハタネズミは1974年には絶滅したと考えられています。
「ルイジアナハタネズミ」の分布・生息地
ルイジアナハタネズミは、アメリカ合衆国のルイジアナ州南西部と、テキサス州南東部の平原地帯に生息していました。
活動時期は一年中で、基本的には夜行性ですが、寒い時期になると日中にも活発に活動する傾向があるようです。
また、数匹のグループで、人間のような社会的行動をすることもわかっています。
餌は主に草食性で、草や根、果実、種子、樹皮、昆虫などを食べています。
寿命は短く、1~2年以上生きることはめったにないようです。
「ルイジアナハタネズミ」の絶滅した原因
ルイジアナハタネズミは、1902年に、アメリカ合衆国のテキサス州東南部のハーディン群のSour Lake付近で1個体が採集され、テキサス州ではこれが唯一の記録とされていました。
その後の目撃情報はなく、1974年に絶滅が宣言されています。
その原因として考えられるのが、人間によるものです。
まず1つ目は、ルイジアナハタネズミの生息地である平原地帯が、農地として大規模開発の対象とされたことです。
農地に開拓されたことで、ルイジアナハタネズミの生活環境が変化・減少し、繁殖する場所もなくなってしまったと考えられます。
もう一つは、人間による駆除の対象となってしまったことです。
ルイジアナハタネズミを含むハタネズミの仲間は、庭に侵入したり、人間の生活環境を荒らしてしまうことがあったようです。
そうしたことから、捕獲機や捕食者(ヘビや家畜、キツネなど)を利用してハタネズミの個体数を減らしたといいます。
この中に、ルイジアナハタネズミが含まれていた可能性は否定できません。
こういった人間による影響で、ルイジアナハタネズミは絶滅に至ってしまったと考えられるでしょう。
「ルイジアナハタネズミ」の生き残りの可能性
最初に述べたように、ルイジアナハタネズミについては、種の同定について議論がなされています。
もし、「ルイジアナハタネズミ」としての種ではなく、プレーリーハタネズミと同種であるとされた場合、絶滅種ではなく「LC」=まだ生き残りが多く、近い将来絶滅する見込みが低い種である となります。
また、ルイジアナハタネズミが生息していたテキサス州では、20世紀後半にテキサステック大学の博士とその学生により、プレーリーハタネズミの仲間が8個体採集されました。
それがルイジアナハタネズミであるという記録は定かではありませんが、テキサス州において、ルイジアナハタネズミの遺存個体群は今も生き残っているのではないかと考えられています。