「ミヤココキクガシラコウモリ」とは
ミヤココキクガシラコウモリは、翼手目キクガシラコウモリ科に属するコウモリの仲間です。
漢字では「宮古小菊頭蝙蝠」とかき、学名はRhinolophus pumilus miyakonisです。
オキナワコキクガシラコウモリの亜種とされていますが、現在、琉球列島に生息しているコキクガシラコウモリの仲間の分類が再検討されており、分類が見直されているようです。
しかし、ミヤココキクガシラコウモリは、2012年に絶滅したと宣言されており、種が記載されたとき以降の標本が採取されておらず、またその標本も焼失してしまっているため、分類の見直しがきちんと出来ていないのが現状のようです。
国内のコキクガシラコウモリの仲間の中では比較的小型で、前腕長は38㎜~39㎜、頭胴長が36㎜~37㎜とされています。
亜種であるとされているオキナワコキクガシラコウモリよりも小型のコウモリで、尾と耳が少し短く、体毛の色もやや淡いのが特徴です。
「ミヤココキクガシラコウモリ」の分布・生息地
ミヤココキクガシラコウモリは、沖縄県宮古島市に属する宮古列島の島、宮古島と、同じく宮古列島の島である伊良部島に生息していましたが、2012年に絶滅したと考えられています。
当初は宮古島のみの分布と考えられていましたが、伊良部島からミヤココキクガシラコウモリの可能性がある骨格標本が発見され、伊良部島にも生息していたと改められました。
宮古島の方言では「カートゥイ」とも呼ばれていたようです。
また、ミヤココキクガシラコウモリは日本固有種のコウモリです。
「ミヤココキクガシラコウモリ」の絶滅した原因
ミヤココキクガシラコウモリは、1971年7月に確認されたのを最後に絶滅したと考えられています。
その後も調査がされたようですが、確認することは出来ず、2012年の環境省のレッドリストにおいて「絶滅」と記載されました。
また、2017年5月17日に発刊された「改定・沖縄県の絶滅の恐れのある野生生物」においても、これまでは「絶滅危惧IA類」だったものが、「絶滅」と書き換えられました。
この原因について、正確な情報はわかっていませんが、近年宮古島は観光スポットとしての需要が高まり、土地改良や観光地としての開発のため、ミヤココキクガシラコウモリが生息していた洞窟が破壊されたことが原因ではないかと考えられます。
また、ミヤココキクガシラコウモリが餌として必要としていた広葉樹が伐採されてしまったことが原因出るという説もあるようです。
ただ、たった10年という短期間で一気に個体数を減らし、絶滅してしまったため、正確な原因はわかっていないようです。
「ミヤココキクガシラコウモリ」の生き残りの可能性
まず、ミヤココキクガシラコウモリを含むコキクガシラコウモリの仲間は、分類が見直されようとしています。
亜種であるオキナワコキクガシラコウモリは現在も生存しており、もし仮に、ミヤココキクガシラコウモリとオキナワコキクガシラコウモリが同種であると見直されれば、ミヤココキクガシラコウモリは絶滅種ではなくなります。
しかし、ミヤココキクガシラコウモリの標本が残っていないため、分類を再度見直すことも非常に困難であることが推察されます。
また、もし同種であったとしても、オキナワコキクガシラコウモリも現在個体数が減少しており、絶滅してしまう恐れがあります。
ミヤココキクガシラコウモリが絶滅した原因はわかっていませんが、急激に個体数が減少してしまったため、私たち人間はその原因の追及を行い、今生きている他の生き物たちへの影響についても考える必要があるのではないでしょうか。