「キタハーテビースト」とは
キタハーテビーストとは、偶蹄目ウシ科に属する、ハーテビーストの亜種です。
ハーテビーストは、アフリカ各地に分布していますが、その中でもキタハーテビーストは小柄の種類で、体高は110cm程度、角の長さは70cm程度とされています。
ハーテビーストと同じく、背は肩から腰にかけて傾斜し、喉や顎の体毛は伸びないのが特徴です。
角は前から見ると、アルファベットのUやVのようになっていて、横から見るとS字状に少し湾曲しています。また、先端付近を除き、角には節があります。
体色は栗色で、尾の先端は黒くなっています。
「キタハーテビースト」の分布・生息地
キタハーテビーストは、パレスチナからモロッコまでの、中東・北アフリカに生息していました。
ハーテビーストと同様、雑草や雑木が生い茂っている土地や、林が点在する草原に主に生息していました。
草食性の動物で、イネ科の草本などを主な餌としています。
1頭のオスと、複数等のメスからなる群れを形成し、乾季になると数百頭から数千頭の大きな群れを作り生活することもあったようです。
「キタハーテビースト」の絶滅した原因
キタハーテビーストは、エジプトや中東では19世紀前後に絶滅したと考えられています。
1923年にパリの動物園に送られてきたものが死亡したという記録がありますが、その後も1940年代まで生存していたとの情報もあるようです。
最終的には、モロッコに1940年代ごろまでいたようですが、1950年ごろにそれらも絶滅したと考えられています。
その原因として考えられているのは、人間の土地開発や入植により、生息地となる草原が減少したことが考えられます。
また、家畜を飼育するにあたり邪魔になるとの理由で駆除されたという例もあるようです。
また、キタハーテビーストの肉や皮を得るために狩猟が盛んに行われたことも原因の一つとして考えられます。
これらいくつかの理由により、キタハーテビーストは絶滅したと考えられています。
「キタハーテビースト」の生き残りの可能性
現在、ハーテビーストの仲間は、全体的に個体数が減少しているものの、「カーマハーテビースト」「コンゴニハーテビースト」「レルウェルハーテビースト」「ニシハーテビースト」「トーラハーテビースト」といった種においては、現在も生存が確認されています。
キタハーテビーストは、ハーテビースト属の亜種であり、その種の見直しにより生存が確認される可能性もあります。
また、他の種に混ざって生活している可能性も否定できません。
なお、他の種においても個体数が減少しているのは間違いないため、私たちは他のハーテビーストたちが生き残れる環境を維持していく必要があるでしょう。